低容量ピル(OC)は、女性にとって嬉しい副効用をたくさんもつ、「女性の生活改善薬」です。
A.ピルの効果について
1.確実な避妊効果
排卵を抑える、子宮の粘液を変化させ精子の侵入を防ぐ、子宮内膜をうすくして着床を防ぐ、という3つの効果により、正しく飲めば低容量ピルの避妊効果は99%以上です。1000人のピル内服女性のうち1年間に妊娠するのは、3人以下とされています。一方、コンドームでは、20人から150人が妊娠するといわれています。ピルにより、妊娠への不安のないセックス、充実した性生活を手に入れることができます。
2.生理痛の改善
生活に支障がでるような強い生理痛(月経困難症)に苦しんでいる方も、痛み止めがほとんどいらないくらいまで生理痛が軽減されます。初潮から最低6ヶ月たっていれば、ピルの服用が可能ですので、中学生、高校生も服用していただけます。
3.月経量の減少
ピルを服用すると驚くほど、生理の出血量が減少し、生理中でも快適な生活が送れます。貧血の改善、ナプキン代の節約にもつながります。
4.生理周期の安定
生理不順の方でも、ピルを服用すると、生理周期は28日と規則的になります。生理がいつ来るかわかるようになるのはとても快適なことです。 仕事や試験、旅行などのスケジュールにあわせて生理を移動させることもできます。
5.にきびや多毛の改善
低容量ピルによって、遊離テストステロン(男性ホルモン)が抑えられるので、にきびや多毛が改善されます。 また、低容量ピルに含まれる卵胞ホルモンにより、ヒアルロン酸が増加してお肌の潤いにもつながります。
6.がん予防
ピルの内服により、子宮体がん、卵巣がん、大腸がんなどの発がんリスクが減少すると報告されています。
ピルの飲み方についてのよくある質問をまとめました。
B.保険診療におけるピル(保険適用のピル)
日常生活に支障を出すほどの生理の重さは「月経困難症」という病気として扱われ保険適用の対象となります。避妊や生理日の移動は病気への対応ではないため自費のピルを選択する形となります。
2(生理痛の改善)と3(月経量の減少)と4(生理周期の安定)の効果のみとなるのが、保険適用のピルです。避妊は関係ないという方にとってはホルモン量がより少ないピルとなり副作用の心配が減って開始しやすいものとなっています。ホルモン量や飲み方の違いで多少のバリエーションがありますが、1か月にかかる費用としては避妊効果のある自費診療のピルと大差はありません。当院で保険がきくピルは、ルナベルとヤーズです。
C.ピルの副作用について
吐き気、むくみ、不正出血、乳房のはりなどを自覚する人もいますが、これらの多くは、1~2ヶ月以内に軽減、消失します。
そのほか、肝機能障害、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、脳卒中などがあげられますが、頻度は非常に稀です。開発当時のピルは含まれるホルモン量が多く、副作用を引き起こされる例があり、「ピルは副作用が怖い」というイメージが作られてしまったようですが、平成11年に日本で認可された現在の低容量ピルはホルモン量がかなり低く抑えられているので、副作用の発生率もかなり低くなっています。
ただし、タバコを吸う方で頻度が高まると報告されていますので、その他のたばこの健康被害も考え、禁煙をおすすめします。
D.よくあるピルへの誤解
1.ピルを飲むと太るは誤解です
低容量ピルを服用しているほとんどの女性で、体重の変化はありません。
体重増加傾向を認めるのは、従来使われていた中容量ピルです。現在使用されている低容量ピルは、中容量ピルとは中身も量もまったく異なる別物です。
2.ピルを飲むと妊娠しずらくなるは誤解です
ピル服用者で不妊症のリスクが上がるという報告はありません。むしろ、不妊症の原因となる子宮内膜症の減少作用があります。ピルをやめれば多くの方はすぐに排卵がもどり、妊娠可能です。もちろん赤ちゃんへの影響もありません。
E.ピル服用の実際
当院では、以下のピルを処方しています。
- アンジュ28
- マーベロン21・28
- ラベルフィーユ28
- ファボワール28
飲み方は簡単、生理開始日から5日目までの間に服用をはじめ、毎日、ほぼ決まった時間に1錠ずつ服用するだけです。土日の生理を避けたい方は、服用開始日をずらすことで調整できます。1シート飲んだら基本的に1週間休薬します。休薬期間の途中に生理(実際には生理のような出血)がおこります。
ピルに限らず、薬剤を服用していると肝臓や腎臓に負担がかかることがあります。年に1度、副作用チェック採血を受けていただくようお願いします。また、ピルを安心して服用していただくため、年に1度、子宮頚がん検診を受けていただくようお願いします。
下記のような病状や状態の人は、ピルを飲むことができません。
- 乳がんにかかったことがある、またはその心配がある。
- 血栓症にかかったことがある、またはその心配がある。
- 35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人
- 高血圧症、糖尿病、心臓病、肝機能障害、腎機能障害のある人
- 授乳中で産後半年以内の人
F.ピルを飲み忘れた場合どうすればいい?
オンライン診療対応
ピルについては初診からオンライン診療での対応が可能です。
ピル(低用量ピル・中容量ピル)のオンライン診療の6つの特徴
1.産婦人科専門医が診察し直接相談にお答えします
2.ビデオ通話での相談・診察・処方が可能です。
3.お薬はご自宅のポストに直接届きます。
4.土曜午後・日曜も診療しています。
5.気になることは専用メールで、先生に直接相談できます。
6.遠方のかたの相談多数。
検査が必要な場合は、当院へお越しいただいても、お近くのかかりつけを受診されても大丈夫です。
是非便利なオンライン診療をご利用ください。
オンライン診療の流れ
予約(保険証、クレジットカードの登録)
こちらの予約サイトからご予約下さい。
予約枠は通常診療と同じ時間帯にてご用意しております。(婦人科は祝日もOKです)
※検査を受けていただく必要がある場合は、当院へお越しいただいても、お近くのかかりつけ医を受診されても問題ありません。
当日予約時間に、オンライン診療専用アプリ(CLINICS)を立ち上げ、接続してお待ちください。
ビデオと音声接続をオンにしてお待ちください。同じ予約枠に複数の患者さんがお待ちですが、接続が確認できている方から診察が開始されます。
アプリ経由で、診察呼び出し通知が入ります。
30分の予約枠の中で、診察の通知が入ります。事前に問診票で状況が十分把握できると、より診療がスムーズにすすみます。
診察
ビデオ通話で診察を行います。万が一インターネットの不調で通信が切れてしまった場合は、すぐにお電話いたしますのでご安心ください。
オンライン診療専用アプリ(CLINICS)のメッセージチャットでの診察も可能です。
決済
予約の際に登録いただいたクレジットカードで決済します。
※診察代・薬剤代などの他に、別途オンラインシステム利用料220円と送料550円が必要です。
お薬のお届け
アプリに登録いただいたご住所宛にお薬を直送します。
ポスト投函なので、受け取りのサインは不要です。
是非便利なオンライン診療をご利用ください。
オンライン診療をフル活用した婦人科診療について
当院では、更年期障害の相談や治療、避妊や生理痛改善を目的としたピルの処方について、以下の理由から積極的にオンライン診療を推奨しています。
- お薬を切らさずに継続することで治療効果が維持される
- 中断・再開を繰り返すことでおきる、治療開始時のマイナートラブルを避ける
- リラックスして診療を受けることで、症状についての疎通がより深まる